みなさん、ドジャースの選手の登場曲どれくらいご存じですか?大谷翔平選手の『Feeling Good』は、アップテンポな曲を選ぶ選手が多い中で、落ち着いた雰囲気の曲調と『マイケル・ブーブレ』の甘い低音が特徴的ですよね。
現地観戦された方や中継を観られている方は、「Feeling Good」が流れた瞬間にドジャースタジアム内に一斉に歓声が沸き立つシーンを何度も目にされていることでしょう。
MLBの観戦において、スタジアムの空気を最も劇的に変える要素のひとつが「Walk-Up Song(登場曲)」です。
打席に向かう十数秒、あるいはブルペンからマウンドへ向かう数十秒。この短い時間に流れる音楽は、単なる選手のBGMではなく、数万人が集う巨大な空間の空気を一変させ、試合のモメンタムを左右する重要な「舞台装置」として機能しています。
本記事では、メジャーリーグにおける登場曲の役割や、スタジアムで爆発的に盛り上がる曲の構造的特徴、そしてドジャース選手たちの個性的な選曲の裏側に隠されたディープな雑学を紐解いていきます。
登場曲の役割と効果:スタジアムを支配する音響心理学
登場曲がスタジアムにもたらす効果は、単なる「球場盛り上げ」にとどまりません。スポーツ心理学や音響効果の観点から、大きく4つの役割に分類されます。
- スタジアムの熱狂の着火剤(ボルテージのコントロール)試合展開で生まれた静寂や間延びした空気を、イントロの数秒で強制的にリセットします。観客の意識を打席やマウンドに一気に集中させるスイッチの役割を果たします。
- 対戦相手への「心理的威圧」重厚なブラスサウンドや不穏なビートは、ホームのファンには無敵の高揚感を、アウェイの選手には目に見えないプレッシャーを与えます。「圧倒的なホームの空気」は音によって作られます。
- ファンとの親近感・「アイデンティティの共有」選曲には選手の音楽的ルーツ、性格、信仰などが色濃く反映されます。言葉を交わさずともパーソナリティを伝える最強の自己表現ツールです。
- レミニセンス・バンプ(Reminiscence Bump)の誘発。音楽と強い感情が結びつく心理効果です。劇的なホームランや三振を奪った瞬間の記憶が曲と強烈にリンクし、後にその曲を聴くだけでスタジアムの熱狂が脳内でフラッシュバックする仕組みを作り出します。
球場が熱狂する登場曲の「構造的」特徴
現地スタジアムで爆発的な盛り上がりを見せる曲には、明確な音響的・構造的な共通点があります。エドウィン・ディアス投手の『Narco』、フレディー・フリーマン選手の『Baila Conmigo』、大谷翔平選手の『Feeling Good』などがその筆頭です。
- 「抜けの良い」高音域(トランペット等)広大な野外スタジアムでは、低音域は歓声に吸収されて散りがちです。トランペットなどの高音域のブラスサウンドは、大歓声を切り裂いて観客の耳にダイレクトに届く「合図(シグナル)」として極めて優秀です。
- 明確なビルドアップとドロップEDMやラテン音楽に特有の「徐々に盛り上がり、一気にビートが弾ける」展開。打席に向かう足取りと曲のドロップ(サビ)がシンクロした瞬間、球場全体のエネルギーが最高潮に達します。
- 観客が介入できる「余白」手拍子がしやすいBPM(テンポ)や、思わず口ずさめる(Sing-along)キャッチーなフレーズがあること。観客を受動的なリスナーから「演出の一部」へと巻き込む要素が不可欠です。
山本由伸投手の登場曲『Frontier』
山本由伸投手の登場曲『Frontier(VINAI & SCNDL)』、好きな方も多いかと思いますが「めちゃくちゃかっこいい!」ですよね。非常にドラマチックで、マウンドに上がる投手としての覚悟を感じさせる素晴らしい選曲だと思います。
あの「口笛(ホイッスル)」のパートが持つ西部劇のような荒野の雰囲気と、楽曲全体が持つEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)の疾走感が組み合わさることで、独特の登場演出が生まれています。登場曲としての親和性について分析すると、以下のような点が浮かび上がります。
1. 「静」から「動」への切り替え演出
冒頭の口笛のメロディは、どこか孤独で、かつ「これから何かが始まる」という緊張感を高めます。広大な球場で、あの乾いた口笛が響き渡ることで、スタジアムの空気が一瞬にして「山本投手の独壇場」に切り替わります。あのイントロは、観客の集中力をマウンドの投手に引き寄せる「スイッチ」として機能します。
2. 西部劇的な「孤高のヒーロー」像
「西部劇の荒野」を連想させ、マウンドという孤独で厳しい勝負の世界に向かう投手の姿と、荒野を歩く一匹狼のガンマンのイメージが重なります。山本投手の、淡々としながらも圧倒的な結果を残すピッチングスタイルに、この「孤高のカッコよさ」が非常にマッチしています。
3. EDMとの融合によるテンポ感
ホイッスルのパートが終わった後、一気にEDM特有のビートへと展開することで、心拍数が上がるような高揚感を生み出します。登場曲は単なる音楽ではなく、ファンが「今から戦いが始まるんだ」と気持ちを切り替えるためのリズム装置です。『Frontier』は、その緩急が絶妙で、日本時代から多くのファンの耳に焼き付いている「勝利のシグナル」として定着しています。
4. 敵チームへの「心理的圧力」
オリックス時代、そして現在のドジャースでも言えることですが、この曲が鳴り響くと、ホームのファンには安心感を、敵チームには「これから厄介な投手が立ちはだかる」というプレッシャーを与える効果があります。あの特徴的な口笛(ホイッスル)を聴くだけで特定の選手を想起させるというのは、ブランド化された登場曲として最高の親和性と言えます。
登場曲に向かない曲と、母国語選曲のジレンマ
逆に、スタジアムの演出として「いまいち」になりがちな曲の典型例は以下の通りです。
- イントロが長すぎる / BPMが遅すぎる曲打席に入るまでの約10〜15秒間で曲の「見せ場」が来ないため、間延びしてしまいます。
- 音がこもっている / 音の隙間が多い曲スタジアムの巨大なPAシステムで流すと音がスカスカに聞こえ、迫力不足に陥ります。
【海外出身選手の「母国語選曲」のメリットとデメリット】
近年、海外出身選手が自身の母国語の曲を選ぶケースが増加しています。
- メリット: 選手のルーツやアイデンティティを強烈に示し、同郷のコミュニティや母国のファンとの間に強い連帯感を生み出します。
- デメリット: 現地のファン(アメリカの観客)にとっては歌詞の意味が分からず、合唱などの「ノリ」を共有しにくい点です。
- 具体例: 岡本和真選手の『希望の轍』やキム・ヘソン選手の『혜성(彗星)』などは、選手のルーツを示す一方で、現地の観客をどう巻き込むか(手拍子などのリズムでカバーできるか)が定着の鍵となります。
ドジャース選手の登場曲・ディープな雑学(トリビア)
現地観戦の楽しさを倍増させる、ドジャース選手たちの登場曲(Walk-Up Song)で、特に著者が好きな曲の特徴や雑学をご紹介します。
- 大谷翔平『Feeling Good (Michael Bublé)』の世界的波及効果大谷選手がこの曲を採用した際、マイケル・ブーブレ本人の携帯電話が世界中からの連絡で「狂ったように鳴り続けた」と本人が語っています。全世界で7500万枚を売るトップアーティストですら驚くほどの「大谷効果」により、楽曲のストリーミング再生が再燃する事態となりました。
- ウィル・スミス『La La Land (Bryce Vine)』ロサンゼルスの愛称である「La La Land」をそのままタイトルに冠したヒップホップ調の楽曲。ドジャースの扇の要として、地元LAへの愛着とコネクションをストレートに表現する、まさにフランチャイズプレイヤーにふさわしい選曲です。
- マックス・マンシー『Cowgirl (Shaboozey)』ヒップホップを選ぶことが多かったマンシーですが、大ヒット中のカントリー・ラップ『Cowgirl』を採用。独特の重いビートと陽気さが、彼の豪快なフルスイングに不思議とマッチしています。
- カイル・タッカー『Walk Thru (Rich Homie Quan)』アトランタ発のトラップ・ミュージックを長年愛用。リラックスした曲調でありながら自信に満ちたビートは、彼の「King Tuck」と呼ばれる余裕のある佇まいと、力みのない滑らかなスイングのリズムをそのまま体現しています。
- ライアン・ワード『I Love This Life (LOCASH)』「俺はこの人生を愛している」と歌うカントリーソング。マイナーリーグで800打席以上この曲を使用し続け、不屈の精神で2026年に悲願のメジャーデビューを果たした彼のバックグラウンドを知ると、球場で流れるこの歌詞の重みが一気に変わります。
- アンディ・パヘス『Santo por Siempre (Comunidad Music & Catalina Castaño)』スペイン語のクリスチャン・ワーシップ(賛美歌)。激しい曲が多い中、自身の信仰心とルーツをマウンド上で静かに、しかし力強く表明する選曲であり、中南米出身選手特有の精神性を感じさせます。
- テオスカー・ヘルナンデス『Ve por Tu Sueño (Lilly Goodman)』陽気なラテンミュージックに聞こえますが、実はラテン・クリスチャン・ミュージック。タイトルは「あなたの夢を追いかけて」という意味で、逆境を乗り越えて夢を追う熱いメッセージが彼のプレースタイルと深く結びついています。
- ダルトン・ラッシング『Mr. Rager (Kid Cudi)』Ragerには「怒れる者、闘争心を燃やす者」という意味があり、過酷なマイナーリーグを生き抜いてきたトッププロスペクトの「内なる闘志」を表現するヒップホップの名曲です。
- 佐々木朗希『Bailalo Rocky (Dj Roderick)』曲中に連呼される「Báilalo, Rocky(踊れ、ロッキー)」の「Rocky」が、自身の名前「朗希(ロウキ)」に聞こえるという秀逸な言葉遊びで選ばれたラテンナンバー。ミゲル・ロハスの提案で佐々木選手が採用しました。陽気なリズム感で、ベンチのチームメイトたちもノリノリにさせる高い一体感醸成力を持っています。
- エメット・シーハン『Brain Stew (Green Day)』90年代パンクロックの金字塔。静かなイントロから始まり、重厚で反復的なギターリフが続くこの曲は、投手がマウンドで闘争心を高め、観客の首を縦に振らせてスタジアムをロックな空間に染め上げるのに最適です。40代のファンには「親近感爆上がり」の選曲です。
- ウィル・クライン『I’m Shipping Up To Boston (Dropkick Murphys)』MLBファンにとってこの曲は、ボストン・レッドソックスの絶対的クローザーだったジョナサン・パペルボンの代名詞として強烈に記憶されています。しかし、イントロのアイリッシュ・パンクの爆発力は、ブルペンから飛び出してくる剛腕リリーバーのテーマとして、やはり抗いがたい魅力と熱狂を持っています。
球場へ足を運ぶ際は、ぜひプレーだけでなく、選手たちが選んだ「15秒の自己表現」にも耳を傾けてみてください。スタジアムの音響設備で肌で感じるベースの振動やトランペットの響きは、現地観戦でしか味わえない極上のエンターテインメントです。

あの地鳴りのような大歓声と登場曲を、ドジャースタジアムで直接体感してみませんか? 現地観戦の準備(チケット・航空券・ホテル)はこちらの記事を参考にしてください!👇



以下👇に登場曲一覧とYouTubeのリンクを貼っているので参考にしてください。
ドジャース選手の登場曲一覧
| 打順 | 選手名 | 曲名 | アーティスト名 |
|---|---|---|---|
| 1 | 大谷翔平 | Feeling Good | Michael Bublé |
| 2 | アンディ・パヘス | Santo por Siempre | Comunidad Music & Catalina Castaño |
| 3 | フレディ・フリーマン | Baila Conmigo | Dayvi & Víctor Cárdenas |
| 4 | ムーキー・ベッツ | 30 for 30 | Flugameq (ft. LilOunce) |
| 5 | カイル・タッカー | Walk Thru | Rich Homie Quan (ft. Problem) |
| 6 | ウィル・スミス | La La Land | Bryce Vine |
| 7 | テオスカー・ヘルナンデス | Ve por Tu Sueño | Lilly Goodman |
| 8 | ミゲル・ロハス | BAILE INoLVIDABLE | Bad Bunny |
| 9 | マックス・マンシー | Cowgirl | Shaboozey |
| 野手 | 選手名 | 曲名 | アーティスト名 |
|---|---|---|---|
| 捕手 | ダルトン・ラッシング | Mr. Rager | Kid Cudi |
| 野手 | ライアン・ワード | I Love This Life | LOCASH |
| キケ・ヘルナンデス | LA LECHE MATERNA | El Alfa | |
| アレックス・コール | I’m So Blessed | CAIN | |
| キム・ヘソン | 혜성(彗星) | Younha | |
| アレックス・フリーランド | WHO? WHAT! | Travis Scott | |
| サンティアゴ・エスピナル | Money En Mi Mente | Eladio Carrión |
| 投手 | 選手名 | 曲名 | アーティスト名 |
|---|---|---|---|
| 先発 | 大谷翔平 | Do Or Die | AFLO JACK |
| 山本由伸 | Frontier | VINAI & SCNDL | |
| 佐々木朗希 | Bailalo Rocky | Dj Roderick | |
| エメット・シーハン | Brain Stew | Green Day | |
| タイラー・グラスナウ | Dazed and Confused | Led Zeppelin | |
| ジャスティン・ロブレスキー | Swing My Way | Offset | |
| ブレイク・スネル | tv off | Kendrick Lamar | |
| 中継 | ジャック・ドライアー | One Last Breath | ATLiens |
| エドガルド・ヘンリケス | Trompetas x Rebota | Dj Rubiooo | |
| ベン・カスパリウス | Boys Don’t Cry | Boys Don’t Cry by Lil Tecca | |
| ウィル・クライン | I’m Shipping Up To Boston | Dropkick Murphys | |
| ブレイク・トライネン | The Outsiders | Eric Church | |
| アレックス・ベシア | Gasoline | Seether | |
| カイル・ハート | What Is Love (7” Mix) | Haddaway | |
| ブロック・スチュワート | Man in the Box | Alice In Chains | |
| 抑え | タナー・スコット | Mother | Danzig |
| エドウィン・ディアス | Narco | Blasterjaxx & Timmy Trumpet |
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